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時効完成後に請求の連絡がきました。どのように対応すればよいですか?

  • カテゴリー:債務整理(個人) コラム
  • 2021.05.11

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債務整理について、素朴な疑問から専門的な論点まで、弁護士が解説いたします。

Q 昔したキャッシングについて、今になって支払いをするよう督促書が送られてきました。その後、弁済を求める電話連絡もありました。最後に支払いをしてから5年以上が経っています。どのように対応したらよいでしょうか?

A  不用意に受け答えをしてはいけません。弁護士に相談し、時効援用を検討することをお勧めします。


≪解説≫

1 時効援用とは

 非常に簡略化して言えば、会社や事業者から請求を受けている場合、目安としては最終取引から5年を経過したところで消滅時効が完成します。

 時効を援用することにより、金銭債権を消滅させ、請求を斥けることができるようになります。

2 電話の受け答えや文書を送ることの何が問題なのか

 多くの場合、忘れたころに、消費者金融や債権回収会社から電話がかかってきたり、はがきが送られてきたりします。

 しかも、莫大な遅延損害金がついており、元金の何倍もの金額になっていることがほとんどです。

 このとき、電話や文書で、債務を承認する内容の発言をしてしまうと、この時効援用について支障が出てしまいます。 

 債務を承認する、というのは、「全部払います」と言う場合に限りません。

 「支払いを待ってください」、「少しずつ分割で払います」、「元本だけでも払います」など、その場しのぎの発言でも、承認とされてしまうものもあります。

 また、利息や元本の一部を支払った場合も、承認にあたりえます。

 ですから、本来は言葉選びに慎重になるべき場面なのです。

 それを、素人考えで、上手にかわしてやろう、と不用意に発言したり文書を送り、後で取り返しがつかない事態になっている方は決して少なくありません。

 ですから、債権者への応対は、なるべく言葉を発しないようにして、早い段階で対応を弁護士に相談されるのが、賢い対応といえるでしょう。

3 債務を承認することの法的な意味とは

 債務を承認すると、時効援用に支障が生じてしまうのは、以下の理由によります。

 ① 消滅時効が完成した「後」に承認をしてしまうと、もはや時効を援用することができなくなるとされています(最大昭41.4.20判決)。これは、信義則により、時効援用権を喪失したのだという理由です。

 ② 消滅時効が完成する「前」に承認をしてしまった場合、時効の中断事由(改正前民法147条3号)または更新事由(民法152条1項)にあたります。

 これらは、契約時期が令和2年4月1日より前か後かによって名称が使い分けられているだけで、効果は同じです。

 この記事を投稿した時点では、ほとんどの方が、改正前民法が適用される案件であると思われます。

 ①と②のいずれの場合も、ひとたび承認をしてしまえば、当初の時効が援用できなくなり、改めて、5年の時効完成を待たなければならなくなります。

 その間に訴訟を起こされてしまうと、本来ならば時効消滅を主張できた案件だったはずなのに、敗訴判決をとられてしまうことになります。

 もっとも、①の場合は信義則を根拠としているため、ケースバイケースで、承認発言や一部弁済があったとしても、直ちに時効の援用が否定されない可能性があります。

4 時効援用を行うメリット

 時効援用は、内容証明郵便で送付するか、訴訟上で準備書面等に記載して主張するか、いずれかの方法をとるべきです。

 しっかりと調査を行い、間違いのない文書を作成し、適切な送付手続を行えば、時間と負担はかかりますが、ご本人で遂行できるかもしれません。

 しかし、そのような手間や時間はもっと有効活用したほうが良いですし、確実に遂行することに不安はあるかと思います。

 弁護士にお任せいただければ、そのような心配はありません。

 また、当事務所では、時効援用通知を内容証明で送るだけでなく、信用情報の抹消依頼と、その後の事務処理状況の確認まで行います。

 信用情報がどうなるのか、という点までフォローいたしますので、ご安心いただけます。

(弁護士:小原将裕)

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