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【解決事例】代表者が死亡した株式会社について法人破産を申し立てた事例

  • カテゴリー:中小企業法務
  • 2024.10.08

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ご依頼主:浜松市内の株式会社

依頼内容:準自己破産

ご相談内容

事業者向け工業製品の加工・販売を営む株式会社がありました。

30年以上の長期にわたり事業を継続しており、歴史ある会社と言えます。

事業としては小規模ながらも安定した取引先が多く、営業損益は黒字でした。

しかし、財務状況は、設備投資による固定資産の割合が多く、また、代表者が詐欺的な投資話に乗せられて多額の金銭を流出させてしまい、債務超過の状況でした。

そのような中で、代表者が突然死亡してしまい、会社は混乱に陥りました。

そこで、従業員の取りまとめ役と、代表者の相続人である配偶者の方が相談にいらっしゃいました。

弁護士の対応とその結果

後継者のいないまま代表者が不在となり、会社は存亡の危機にさらされている状況でした。

しかし、代表者の配偶者の方も、従業員の多くも、事業の継続を望んでいませんでした。

破産会社としては、事業は黒字ではあったものの、財務状況が悪かったため、破産を申し立て、清算を行うことになりました。

また、多額の負債を抱えており、不審な付き合いもあったため、代表者については相続放棄をすることになりました。

ところで、自己破産を行うためには代表者による申立てが必要となります。

しかし、この会社は取締役会設置会社であり、欠員補充の規定もありませんでした。

また、100%株主である代表者については、相続放棄をするため株主総会も開くことができません。

そこで、配偶者の方が、名目的とはいえ取締役であったため、準自己破産という方法で破産を申し立てることにしました。

在庫商品の管理や経理の取扱い、預金口座の保全等、様々なことを従業員の協力を得て行いました。

代表者不在のため、弁護士も1週間ほど毎日のように会社に詰め、指揮や事務処理にあたりました。

この間、従業員の方が真摯に対応してくださったことが大きな助けになりました。

最終的に従業員の方の解雇や退職後の処理を行い、申立に至りました。

無事に破産開始決定が出て、破産管財人による事務処理や債権者集会を経て、約1年半を経て破産手続は終結しました。

 ★負債総額  約1憶3000万円

 ★従業員数  10名以上

担当弁護士からのコメント

代表者不在、株主不在の中では法律的には会社が法律行為をすることができません。

そのような状況では、会社の継続は不可能と言わざるを得ず、清算を余儀なくされます。

本件のように、後継者なく代表が死亡してしまう場合には、残された会社は混乱に陥ることから、代表者は備えておかねばなりません。

従業員の方が一定の範囲で協力してくれることは珍しくありません。

本件では、大多数の方が協力してくれたので、在庫商品の管理や取引先への対応、財産保全が、短期間の中でも高い水準で行うことができました。

そのような意味では、代表者は良い企業風土の会社を作っていたと言えます。

また、代表者は自身に死亡保険をかけていました。

受取人は会社となっていたため、破産開始決定後に、多額の保険金が支払われました。

破産財団が十分に形成されたため、従業員は解雇予告手当に加え、支払われることがほとんどない退職金まで配当を受けることができました。

破産の際に従業員の退職金を確保するためには、中小企業退職金共済(中退共)が利用されることが一般には有効です。

本件は、生命保険という形でも一定のリスクヘッジが図られる場合があるというモデルケースと言えます。

(弁護士 小原 将裕)

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