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当事者の一方が同性愛である場合の不貞や不倫は法的にどうなりますか?

  • カテゴリー:離婚・男女問題
  • 2021.12.27

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離婚・男女問題(不貞)について、素朴な疑問から専門的な論点まで、弁護士が解説いたします。

 

Q 同性愛に関する不貞・不倫は、異性愛者のみの場合とどのような違いがありますか。

A 離婚原因の位置づけや、慰謝料請求がどのように認められるかが異なります。


≪解説≫

1 同性愛を異性愛と区別して考えなければならないのか

 前回のコラムでは、夫婦の一方が別の異性と男女関係になるという、異性愛者のみを念頭に置いて解説しました。

 それでは、当事者のいずれかが同性愛者の場合はどうでしょうか。

 同性愛の場合も異性愛の場合と全く同じように考えるのが平等である、という考え方もあるでしょう。

 しかし、現在の法制度では、婚姻制度は両者を決定的に区別しています。

 独自の仕組みとしてパートナーシップ制度を導入している自治体もありますが、法律の枠組みを覆すものではありません。

 そこで、あくまで現行法の下で、いずれかが同性愛者である不貞・不倫について、解説してまいります。

  

 パターンとしては、
  ①夫婦の一方が別の同性と性的関係をもつ場合と
  ②同性婚の一方が別の者(同性・異性)と性的関係をもつ場合
 が考えられます。

 なお、同性愛の議論は、異性愛と比べて判例理論の蓄積が少ないことから、まだまだ流動的であることに注意が必要です。

  

2 夫婦の一方が別の同性と性的関係をもった場合

⑴ 離婚原因となるか

 まず、同性間の性的接触は離婚原因になるのでしょうか。

 離婚原因における「不貞」(民法770条1項1号)は、法律用語であり、明確な定義づけがあります。

 「不貞」とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことを意味します(最高裁昭和48年11月15日判決)。 

 上記判例の定義では、あくまで「配偶者以外の者」であって「配偶者以外の異性の者」ではありません。

 しかし、学説では、異性間の性的接触に限定されて解釈されており、この判決文も、そのことを否定するものではありません。

 したがって、同性愛の場合、性的接触があったとしても離婚原因における「不貞」には該当しないことになります。

 もっとも、同性愛の場合も夫婦関係に与える影響は異性愛と差がありませんから「その他婚姻関係を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)として、離婚原因に該当する可能性があります。

 結論として、適用する法律の条文が異なるだけで、同性愛の場合も、性的接触や不倫をすれば離婚原因となりえます。

 

⑵ 慰謝料請求の原因となるか

 次に、同性間の性的接触や不倫関係について、慰謝料請求が認められるのでしょうか。

 同性であっても「婚姻共同生活の維持」を侵害することに変わりはありませんから、「不法行為」が成立し慰謝料請求が認められるように思えます。

 この点、夫婦の一方が同性と性的関係を持った行為につき、「不法行為」が成立するとして慰謝料請求を認めた裁判例があります(東京地裁令和3年2月16日判決)。

  

 まとめると、夫婦の一方が別の同性と性的関係になることは、結論として法律婚の場合と同様に、①離婚原因となりうる、②慰謝料請求が認められうる、ということになります。

  

3 同性婚の一方が別の者(同性・異性)と性的関係をもった場合

 現在は同性同士の婚姻は法律上認められていませんから、法律上、パートナーの解消のために手続は必要ありません。

 ※自治体のパートナーシップ証明書の返還を求められることはありますが、解消の要件ではありませんし、法律上の手続というわけでもありません。

 したがって、同性婚の一方が別の者と性的関係をもつことについて、慰謝料請求が認められるか否かが専ら問題となります。

 この点、同性婚の一方が別の同性と性的関係に及んだ場合に慰謝料を請求した訴訟において、最高裁は、婚姻に準じた関係であり法的保護に値するという下級審の判断を支持し、慰謝料請求を認める判断を下しました(最高裁令和3年3月17日判決)。

 ただし、同性婚は法律婚やこれに準ずる内縁と異なるとして、これらと比較して、認容された慰謝料の金額はやや低い水準となっていました。

 また、同性婚の一方が別の異性と性的関係に及んだ場合についても、上記の裁判例と同一に考えることは十分可能です。

  

 まとめると、同性婚の一方が別の者と性的関係になる場合、慰謝料請求は認められうるが、認められる金額は法律婚の場合よりも低水準になる可能性がある、ということができます。

 

 ちなみに、札幌地裁令和3年3月17日判決では、同性婚を認めない民法及び戸籍法の規定は違憲であるという判断がなされています。

 同日付でなされたこの判決が、同性婚による性的関係についての慰謝料請求に今後どのように影響していくのか、裁判実務はいま過渡期にあるといえます。  

(弁護士:小原将裕)

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