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【解決事例】遺産分割調停で複数の不動産を分け、取得財産を大幅に増額させた事例

  • カテゴリー:相続・遺言
  • 2021.08.13

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ご依頼主: 40代 男性
依頼内容:相続財産調査、遺産分割調停

ご相談内容

Bさんの父親は、不動産(宅地、貸駐車場、農地等)を多数所有していました。Bさんは、10年ほど前まで父親の事業を手伝っていましたが、母親や兄弟から疎まれ、事業を手伝うこともできなくなり、そのまま疎遠になっていました。

数年前に父親が病に倒れてからも、Bさんは他の親族から細かな事情を知らせてもらえず、お見舞いに行くためにも、なんとか自分で父親が入院している病院を探し出さなければなりませんでした。

父親は、亡くなる2年前からは、成年後見人がついて財産を管理していましたが、後見人がつくまでの間は、母親と兄弟が父親の財産を管理していました。

父親が亡くなった後、Bさんは、兄弟から、遺産は、法定相続分どおりに分けてあげるから分割協議書に今すぐ判を押せと迫られました。

しかし、父親の相続財産の状況を兄弟に尋ねても何も教えようとせず、何としても遺産分割協議書に判を押すように迫る兄弟に不信感を募らせたBさんは、弁護士に相談することにしました。

弁護士の対応とその結果

弁護士は、Bさんから話を聞き、登記や名寄帳などから不動産の状況や価値を調べました。

また、弁護士は、Bさんの依頼を受けて、複数の金融機関に父親の預金口座の有無や取引履歴の調査を行いました。

その結果、Bさんの父親の口座からは、Bさんの母親と兄弟らが管理していた数年の間に、4000万円以上の引き出しがあったことがわかりました。

そこで、弁護士は、遺産分割調停を申し立て、不動産の分割とともに、兄に4000万円以上の使途を追及し、Bさんの相続分の支払いを求めました。

ところが、母親と兄弟は、預金の引き出しについて、父親の意思に基づいて預金を引き出しすべて父親に渡したので、自分たちは関係ないと主張しました。

弁護士は、父親が入院していた病院から診療記録を、市から介護認定の記録を取り寄せて、父親の預金が引き出された当時の父親の病状や能力について調査をしました。

その結果、Bさんの父親は寝たきりで意思疎通も図ることは難しかったことがわかり、寝たきりになった日以降の引き出しは父親の意思に基づかないものだとの主張につながりました。

また、母親と兄弟らは、不動産の価値についても自らに有利な評価方法を主張してきました。

そこで弁護士は、数ある不動産の評価方法の中からBさんに有利な不動産の評価方法を検討し、その評価額を主張しました。

その結果、不動産の評価方法についてはBさんに有利な評価額で評価することとなりました。

最終的に、Bさんは遺産分割調停にて、母親と兄弟が最初に提示した金額から約1000万円ほど増額した遺産を確保することができました。

担当弁護士からのコメント

Bさんのように、相続財産に多数の不動産がある場合、その適正な金額を算定することはとても大変です。

弁護士は、不動産を調査して適正な評価額を検討し、必要に応じて、裁判所で鑑定を求めるなどの対応も可能です。

また、今回のケースのように、預金の引き出しが被相続人の意思に基づくものかどうかが争点になることは、遺産分割調停や不当利得返還請求ではよくあることです。

弁護士は、それぞれの預金の引き出しの時期の被相続人の体調や認知能力の程度などを、さまざまな資料から検討を重ね、適切に主張していきます。

「法定相続分を渡す」と言われると、「法定相続分どおりに分けられるならいいか」と思ってしまうかもしれません。

しかし、法定相続分は、相続財産の分け方(計算方法)の問題であり、前提となる「もともとの相続財産が何か」、「相続財産の価値がいくらか」という点が不公平だと、遺産相続の結論もまた不公平になってしまいます。

特に、不動産の数や種類が多い場合や、相続人による財産の使い込みが疑われる場合は、前提としての相続財産の範囲や価値の評価が重要になってまいります。

Bさんは兄弟の態度に不信感を感じたことがきっかけで弁護士に相談できたため幸いでしたが、そうでなければ、法定相続分どおりという言葉につられて協議書に押印してもおかしくありませんでした。

一度押印をしてしまうと覆すことは困難ですから、少しでも気になる点がある場合には、協議書を取り交わす前に一度ご相談いただければと思います。

(弁護士:橋本友紀子)

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