【解決事例】町工場を営んでいた個人事業主が破産し免責を受けた事例
- カテゴリー:債務整理(法人・事業者) 解決事案
- 2023.05.10
ご依頼主:70代 男性
依頼内容:自己破産(個人事業主・通常管財事件)
ご相談内容
ご依頼主は、浜松市内で数十年もの間、町工場を営んでいました。
自動車部品の製造下請けとして切り盛りしていましたが、ご依頼主の高齢化や設備の老朽化に加え、発注減による売り上げの減少により、事業を廃止することを考えるようになりました。
しかし、売上減が続いたため、運転資金の融資を受けていたこともあり、債務超過の状態にありました。
このような状況で、廃業についてご相談をいただきました。
弁護士の対応とその結果
個人事業主が廃業をするにあたり、債務超過の場合、支払を続けるか自己破産をするか、という選択を迫られます。
本件では、ご依頼主も高齢であり、将来にわたって返済することのできる債務額ではなかったため、自己破産の方法を選択しました。
従業員は全員が退職し、家族のみで事業を維持していたことから、速やかに申立てを行いました。
本件では、特に免責不許可事由が見当たらなかったため、換価配当手続を経たうえで、最終的には免責許可決定を得ることができました。
★本件の債務減額 約1500万円→0円
担当弁護士からのコメント
本件では、かなりご自身で廃業のための準備を進めてしまっていました。
しかし、自己破産をする場合、残置物の処理や什器備品機械類の売却は、その金額が相当であるが、裁判所は厳しく調査・判断します。
破産者自身に不利になることはもちろん、場合によっては、取引の関係者に迷惑をかけてしまうことがあります。
そのため、自己破産の可能性がある場合は、処分や売却をする前に弁護士にご相談いただくことで、関係者への迷惑を回避することができます。
また、本件では夫が事業主、妻が経理を担当するという家族経営の町工場でした。
個人事業主は、事業用財産と個人用財産の整理が必要となりますが、家族経営の場合、さらに家族への財産の移転などが問題となるケースがあります。
本件では、やや不透明な金銭の動きがありましたが、それほど問題となることはありませんでした。
家族経営の事業を営んでいる方は、破産を考えたとき、財産隠しを疑われるような行動は慎むよう、注意が必要です。
家族経営の場合、破産をすると家族全員の収入が一気になくなることになります。
また、破産後の生活資金として残すことができる財産には限りがあります。
そのため、破産と並行して、再就職などを目指す必要があります。
長期にわたり個人事業主を続けてきた方にとって、再就職はハードルが高いと言えますが、それだけに、早い段階から着手する必要があります。
弁護士への相談を機に、新たな一歩の準備を始められることがありますから、気負うことなく、ご相談いただくことが有益です。
(弁護士 小原 将裕)